2022年後半、ChatGPTは一般向けに公開されました。
これまで研究者や専門家の範囲で使われていた自然言語処理の技術が、遂に、民主化されたのです。テクノロジーに関心の深い方はすでに、その性能を体験したでしょう。
人間と機械の意思疎通を高いレベルで可能にしたChatGPTは、人類のAI時代の幕開けともいえるサービスです。
今回の記事では、ChatGPTの使い方や基本的に知っておきたいことを、どなたでも理解できるように説明します。
ChatGPTを使うためには、まずサービス提供者であるOpenAIのアカウントを取得する必要があります。この章ではOpenAIアカウントの取得方法について説明します。
OpenAIアカウントを取得する際に必要なものは下記の通りです。
Eメールアドレスに関しては、アカウントを任意のEメールアドレスにする場合を想定しています。他にもGoogleアカウントやMicrosoftアカウントでも代用できます。
なお、電話番号に関してはアカウント認証のために使われます(2段階認証)。
次の章で説明しますが、ChatGPTには有料プランも存在しますが、OpenAIアカウント自体は無料で作成し維持することができます。
また、有料プランに加入しないのであれば、クレジット等の情報も不要です。
①ChatGPTの公式HPにアクセスして、Sign upのボタンをクリック
②アカウント名で使用するEメールアドレスを入力し、Continueのボタンをクリック
③パスワードを入力し、Continueのボタンをクリック
OpenAIアカウントのパスワードルールは、「8文字以上」のみです。よく見られる大文字・記号・数字等を混在させるといったルールはありません。
④アカウント名で指定したEメールアドレスに確認メールが送信される
⑤OpenAIから送信されたEメールを開き、Verify email addressの文字をクリック
⑥名前(First・Last)と生年月日を入力する枠がある
⑦FirstName、LastName、生年月日をそれぞれ入力し、Continueのボタンをクリック
⑧電話番号を入力し、Send codeのボタンをクリック
⑨認証コード入力画面が表示される
⑩OpenAIからのSMSを開き、認証コードを確認して、前工程⑨の入力欄に入力する
⑪ChatGPTが利用可能になる。以上でOpenAIアカウントの取得は完了。
ChatGPTには無料プランもありますが、より高度かつ専門的な回答を求めるユーザー向けに、有料プランも提供されています。この章では、ChatGPTの料金プランについて説明します。
ChatGPTの料金プランは、無料と有料(月額20ドル/米)の2種類です。大きな違いは、ChatGPTで利用できる『言語モデル』となります。ChatGPTの言語モデルはGPT-xxのようにバージョン表記されています。
無料プランで使える言語モデルは「GPT-3.5」のみです。GPT-3.5は利用回数に制限はありません。ただし、後述するGPT-4と比較すると、性能差はかなり大きいです。私見ですが、GPT-3.5は自然言語AIの体験に限定され、実用性は高くはありません。
ChatGPTの有料プラン(正式名称:ChatGPT Plus)では、GPT-3.5に加え、最新の言語モデルGPT-4を利用することができます。なお、GPT-3.5は利用回数の制限はありませんが、GPT-4は3時間ごとに〇〇回、という制限が設定されています。
当記事執筆時点(2023/10)では、3時間ごとに50回です。つまり、1日や1か月内の回数制限ではなく、3時間経過することで回数制限はリセットされます。
当サイトでは、ChatGPT Plusに加入していますが、GPT-4は驚愕の能力を持っています。ChatGPTがここまでメジャーになったのは、GPT-4の性能が理由でしょう。
わたしはGPT-4加入したことで、人類のAI時代の幕開けを感じました。生涯でもっとも衝撃を受けた瞬間です。
GPT-4は、ChatGPT Plusに加入することで使用できる
OpenAIアカウントを取得して料金プランも理解したのであれば、早速ChatGPTを使ってみましょう。この章では、ChatGPTの基本的な使い方を説明します。
ChatGPTを使う際には、まず言語モデル(GPT-3.5 or GPT-4)を選択します。ただし、無料プランであればGPT-3.5のみです。
ChatGPTでは、チャットルームを無制限に作成することが可能で、チャットルームごとに言語モデルを選択することができます。そのため、ここでGPT-4を選んでも別のチャットルームでは回数無制限のGPT-3.5を使うこともできます。
ChatGPTの使い方自体はとても簡単です。プロンプト入力欄に文章を入力して送信するだけです。なお、「プロンプト」とは、生成AIで頻繁に使われる用語で、命令文や依頼文と理解すればよいでしょう。
ChatGPTのプロンプトは、約2,000文字まで対応しています。特にGPT-4の場合、下記のような長文のプロンプトでも見事に解釈して、それに沿った回答をしてくれます。
プロンプトを送信すると、ChatGPTはプロンプトに対応する文章を生成します。質問形式であれば、回答。文章生成の依頼であれば文章が生成されます。なお、下記の赤枠内がChatGPTが生成した回答ですが、GPT-4の場合は、回答枠内のアイコンが紫色になっています。
後日、GPT-3.5とGPT-4の比較記事も公開する予定ですが、今回のサンプルで使用したChatGPTの回答を参考までにご覧ください。回答生成に要した時間は30秒程度でした。
送信したプロンプト:ディープラーニングと数学の関係性を教えてください。
GPT-4の回答
ディープラーニングと数学は非常に密接な関係にあります。ディープラーニングの基本的なアルゴリズムや理論を理解するためには、数学の複数の分野が必要です。以下にディープラーニングと関連する主な数学の分野と、それらの関連性を説明します。
- 線形代数:
- ディープラーニングモデルでは、ベクトル、行列、テンソルが頻繁に使用されます。これらの数学的概念はニューラルネットワークの層を通じてデータがどのように変換されるかを記述するのに必要です。
- 行列の積や固有値分解などの線形代数の操作は、多くのディープラーニングライブラリの基本的な部分となっています。
- 微分積分学:
- ニューラルネットワークを訓練する際には、損失関数を最小化するためにバックプロパゲーションアルゴリズムが使用されます。このアルゴリズムの背後には、微分が中心的な役割を果たしています。
- また、最適化手法(例: SGD, Adam)の背後にも微分があります。
- 確率論および統計学:
- ディープラーニングでは、データが持つノイズや不確実性を考慮するために確率的手法が使用されることが多いです。
- 例えば、ドロップアウトやバッチ正規化などのテクニックは、確率的な要素を持っています。
- また、損失関数や評価指標の背後にも統計学的な考え方があります。
- 情報理論:
- エントロピー、相互情報量、KLダイバージェンスなどの情報理論の概念は、ディープラーニングのいくつかのアスペクト(例: 正則化、モデルの評価)に関連しています。
- 最適化理論:
- ニューラルネットワークを訓練するためには、損失関数を最小化する最適化アルゴリズムが必要です。このため、勾配降下法やその派生形態(例: モーメンタム、RMSprop)の理解は非常に重要です。
ディープラーニングを実務で適用するためには、これらの数学の詳細をすべて深く理解する必要はありません。しかし、基本的な概念を理解しておくと、モデルの動作や発生する問題の原因をより正確に把握することができるでしょう。
ChatGPT.GPT-4
ChatGPTのプロンプトは、チャットルームのように管理されています。ChatGPTを使う際に、前回のチャットルームの続きから始めたり、新たな会話を始めたりすることができます。
下記の右側の赤枠内がチャットルームになっているのですが、タイトルはプロンプトの内容から自動的に付与されます。現時点では、チャットルームの数にも、チャットルーム内のプロンプト数にも制限はありません。
チャットルームは削除も可能
2023年8月のバージョンアップにより、ChatGPTでは「カスタム指示」という機能が追加されました。これは、ユーザーのパーソナリティ(居住地、仕事)や応答時の要望(フォーマルorカジュアル)を設定することができます。
この機能は無料プランでも使うことが可能ですが、すべてのプロンプトに適用されてしまうため、あまり実用的には感じません。後日、別記事で詳しく紹介します。
ChatGPTに搭載されたカスタム指示機能
誰でも高度な自然言語処理のAIを使えるようになった現代、ChatGPTをどう使うか。これから発展し続けるAIの活用は、ビジネスでも個人でも、将来を大きく左右することは間違いありません。
この章では、ChatGPTの使い道について紹介します。なお当サイトでは、下記のすべての用途において、GPT-4の利用を推奨します。
ChatGPTをビジネスに活用するには、特に利用者側の能力に依存します。活用範囲は無限ですが、たとえば下記のような用途でも使えます。
他のサイトでは、それぞれの分野の活用方法を具体的に提示しているページが多く見受けられますが、本質的な活用は「人間を超えたさまざまな知識を持つAI」を身近に置いたとき、何を聞くか?です。
もちろん、AIにも欠点はありますが、ChatGPTと対話をくり返している中で、大きなヒントを得られることが多いのです。ぜひ、メール文章やプレゼン資料の作成といった小手先の活用に終始するのではなく、人類の叡智が凝縮された言語モデルを、有益にビジネス活用してください。
一方で、AIは思考の代替として活用することもできます。これは別記事で紹介します。
ChatGPTは人間を超えた知識を持つ言語モデルです。
学生であれば、分からない問題に遭遇することはありませんか?解説を読んでも、別の疑問が生じて腑に落ちないことはありませんか?
ChatGPTは個人用の家庭教師のような存在で、問題に対する回答や解説を求めることができます。高度な数学問題の解説、なぜこの回答では誤りなのか、にすべて答えてくれます。
ChatGPTは学生や学習者にとっても大きな存在となるでしょう。
個人事業主やフリーランス、そして会社勤めでも何らかの個人活動を行っている方であれば、自身のビジネス分野に関するアイデアや意見交換はいくらでも必要なはずです。
ChatGPTは、さまざまな分野を学習した言語モデルのため、それらにも対応することができます。
たとえば自身と同じ分野で活動するなんでも知っている人と出会った際、とても会話が弾むことは想像できるでしょう。個人活動家にとって、ChatGPTは大いに活用できるリソースです。
対話するだけが目的ではありません。対話を通じて、自身のアイデアを活性化させて実現させるのです。
なお、わたしも個人活動家としてChatGPT Plusを活用しています。
ChatGPTも含めて現状の生成AI(画像・文章)は、人間が送信するプロンプト(依頼文)によって応答品質が大きく左右されます。
この章では、生成AIにおけるプロンプトの重要性とGPT-4の利用も含めたChatGPTの応答品質について紹介します。
生成AIは、入力されるプロンプトに非常に敏感です。プロンプトはAIの「指示」ともいえるもので、その質や具体性は出力結果に大きく影響します。
一般的な問いかけでは曖昧な返答を受け取ることもありますが、明確で具体的なプロンプトを使用することで、より精度の高い回答を得られる可能性が高まります。プロンプトの書き方一つで、AIの効果的な活用が可能となります。
GPT-4は、過去のバージョンよりも高度に進化したモデルであり、その知識の深さと広さは一段と増しています。この進化したモデルを利用することで、更に細やかで精度の高い回答を期待することができます。
特に専門的なトピックや複雑な問いかけに対して、GPT-4はその能力を発揮します。最新のモデルを活用することで、ChatGPTの持つポテンシャルを最大限に引き出すことができます。
ChatGPTには、他のAIモデルとは異なる独特の特性があります。たとえば、長文のプロンプトよりも短くて簡潔なプロンプトの方が、より明瞭な回答を引き出すことができる場合があります。
また、同じ問いを異なる角度から繰り返し問うことで、より詳細な情報を得ることも可能です。ChatGPTの特性を理解し、それに合わせて質問を工夫することで、期待する回答を得やすくなります。
ChatGPTは使い方によっては、人間の強力なパートナーになります。一方、ChatGPTはインターネットを介するサービスである以上、基本的なITリテラシーは必要です。
この章では、ChatGPTを使ううえでの注意点について説明します。
ChatGPTの学習ソースは、○○年○月まで、のように情報の最新性が限定されています。
たとえば、リリース当時は2021年9月までに限定されていました。つまり、ChatGPTは2021年10月以降の情報は学習していないのです。わたしの感覚として、最新の情報が必要な分野でChatGPTを使用することは少ないと思いますが、情報の最新性は意識したほうがよいでしょう。
たとえば、今の○○大臣の名前や昨日のスポーツゲームの勝利チーム、特定の選手の今シーズンの活躍状況などの情報は、Web情報で充分です。
ChatGPTは、より知識ソースの量や専門性が求められる分野で真価を発揮するため、情報の最新性が大きなネックになることはないと考えています。
ChatGPTを使用する際、特に重要なのは、個人情報やセンシティブなデータの取り扱いに注意することです。ChatGPTには、具体的な氏名、住所、クレジットカード情報などの個人を特定可能な情報を入力することは避けるべきです。
必要以上に警戒する必要はないと考えていますが、ChatGPTがインターネットを介するサービスである以上、最低限のITリテラシーは必要です。
ChatGPTは、大量のWebページやテキストデータを基に学習しており、その内容は非常に多岐にわたります。
しかし、インターネット上の情報は必ずしも正確ではなく、誤った情報や偏見を含む可能性があります。ChatGPTもそのような情報を学習の一部として取り込んでいるため、出力される答えが常に正確であるとは限りません。
情報の取得や確認の際には、複数の信頼性の高いソースと照らし合わせることが重要です。
ChatGPTは、非常に高い応答性能を持っていますが、その回答が必ずしも正確であるとは限りません。
特に重要な決定をする際や、専門的な情報を取り扱うシーンでは、ChatGPTの回答だけに依存するのではなく、他の信頼できる情報源や専門家の意見をもとに判断することが重要です。
ChatGPTはあくまで支援ツールの一つとして活用することを心がけ、最終的な判断は自身で行うようにしましょう。
今回は、ChatGPTの使い方について記事にしました。
OpenAIアカウントの取得から基本的な使い方、概念などを網羅的に説明しましたので、ぜひ活用に積極的に取り組んで下さい。一部、「何に使うか」については、他のサイトと比べドライな文章となりましたが、わたしの信念として『大衆の情報』に流されることが嫌いなのです。
特にビジネス活用においては、メール文章やプレゼン資料など、極めて事務的・限定的な用途に限定するのではなく、大きなアイデア出しや実現に主眼を置き活用するほうが、圧倒的に有益です。
ぜひ、ChatGPTと対話をくりかえして、新しいアイデアが生まれる感覚を体験してください。
これから大きく発展するAIをどのように活用するか、はビジネスでも個人でも将来を大きく左右する重要なテーマです。