プロセス中心アプローチ(POA)とは?開発手順と概要を初心者向けに解説

システム開発の手法として広く知られるプロセス中心アプローチ。これは、業務プロセスを中心にシステム開発を行うアプローチで、特に既存の業務フローに密着したシステムの構築を必要とする場合に活用されます。

このアプローチの目的と流れはどうなっているのか? そしてどのように進めるべきなのでしょうか?

この記事では、初心者の方でも理解できるようにプロセス中心アプローチの概要と開発手順を詳しく解説します。

プロセス中心アプローチの概要

この章ではシステム開発アプローチのひとつである「プロセス中心アプローチ」について、基本的な概要と大まかな流れを説明します。

プロセス中心アプローチ(POA)とは

プロセス中心アプローチ(Process Oriented Approach)は、システム開発のアプローチの1つで、業務のプロセスや手順を中心にシステム設計を行います。

これは、システムが業務のプロセスを基盤とし、それを中心に機能やデータを組み立てるという考え方です。特に業務のフローや手順が固定化されていて、それを反映したシステムが求められる場合に有効です。

このアプローチの対立概念としては、データ中心アプローチ(Data Oriented Approach)があります。DOAは、業務で扱うデータの構造や流れを中心にシステム設計を行う手法であり、データの整合性や一貫性が重要な場合などに適しています。

それぞれのアプローチはその強みと適用領域があり、どちらが絶対的に優れているわけではありません。システムの目的や要件、開発環境、開発チームのスキルセットなど、さまざまな要素を考慮して最適なアプローチが選択されます。

プロセス中心アプローチの流れ

プロセス中心アプローチの開発フローは、大まかに下記の4つのステップで構成されます。

  1. システム化対象業務の決定: ここでシステム化する業務を明確にします。業務の全体像を理解し、どの業務プロセスがシステム化の対象となるかを定めます。
  2. プロセス分析とプロセスモデルの作成: システム化対象の業務プロセスを詳細に分析し、それを基にプロセスモデルを作成します。この段階では、業務の流れや条件分岐、例外処理などを詳細に把握します。
  3. システム設計とシステムモデルの作成: プロセスモデルを基にシステムの設計を行います。この際、具体的な機能やデータの設計も同時に行います。
  4. 実装とテスト: 設計に基づいてシステムを実装し、テストを行いながら最終的なシステムを構築します。

この流れは一例であり、具体的な開発フローはプロジェクトの具体的な要件や状況により異なります。プロセス中心アプローチでは基本的に業務プロセスから出発し、それを中心にシステム全体を設計・開発します。

プロセス中心アプローチにおける開発手順

この章では、プロセス中心アプローチにおける開発手順(主にプロセスモデリング)を詳しく説明します。各工程で、具体的にどのような定義、開発を行っているのか例示しますので、理解を進めていきましょう。

1. システム化対象業務の決定

プロセス中心アプローチの開発手順の最初のステップは、システム化対象となる業務を明確に決定することです。この段階では、システム化を行う業務の内容と範囲、プロセスの種類とその関連性を明確にし、システム開発の対象範囲を定義します。

2. プロセス分析とプロセスモデルの作成

次に、業務のプロセスを詳細に分析し、プロセスモデルを作成します。

プロセスモデルは、業務がどのように動作するかを表現するためのものです。具体的には、どのような手順で業務が進行するのか、どのような条件下で何が起こるのか、それぞれのプロセスがどのように関連するのかを分析し、それらをモデル化します。

たとえば、注文プロセスは、顧客が商品を選ぶ、注文を確定する、支払いを行う、商品が発送される、といった一連のステップを含みます。

補足

プロセスモデルでは、それぞれのプロセスとその間のフローを定義します。この段階では、具体的なシステム設計はまだ行いません。

Processes: 顧客の選択, 注文確定, 支払い, 商品発送
Flows:
顧客の選択 -> 注文確定
注文確定 -> 支払い
支払い -> 商品発送

3. システム設計とシステムモデルの作成

プロセスモデルが完成したら、それを基にシステム設計を行い、システムモデルを作成します。システムモデルは、実際のシステムがどのように動作するかを表現するもので、具体的なソフトウェアの設計と構造を定義します。

補足

システムモデルでは、システムがどのように機能するか、またはどのように動作するかを定義します。具体的なソフトウェアの設計と構造を定義します。

System Model:

顧客が商品を選択する機能
顧客が注文を確定する機能
顧客が支払いを行う機能
商品が発送される機能

4. 実装とテスト

最後に、システム設計に基づいて実際のソフトウェアを実装し、テストを行います。これにより、設計したシステムが正しく動作することを確認します。

実装とテストでは、システムが要求仕様を満たしていることを確認します。これにはユニットテスト、統合テスト、システムテストなどが含まれます。


以上がプロセス中心アプローチにおける開発手順の概要です。開発プロジェクトの具体的な要件や状況に応じて、これらの手順をカスタマイズすることもあります。また、各ステップごとに適宜レビューと修正を行いながら進めることが大切です。

業務プロセスの分割の重要性

業務プロセスの分割は、大きな業務をより管理可能な部分に分けるというアプローチを意味します。これは、各部分がどのように動作し、全体の業務達成にどのように関係しているかを明確にするための重要なステップです。

業務プロセスの分割とその重要性

業務プロセスの分割は組織の運営において極めて重要な役割を果たします。組織の業務は複雑で多岐にわたり、一つの大きな塊として捉えると管理や改善が難しいことがよくあります。そこで業務プロセスの分割が重要となるのです。

業務プロセスを分割することで、各プロセスがどのように機能し、他のプロセスとどのように連携しているかを理解することができます。これにより、問題が発生した場合でもその原因を特定しやすくなり、解決策を迅速に実施することが可能になるのです。

また、業務プロセスの分割は組織全体の業績評価にも有益です。各プロセスのパフォーマンスを明確にすることで、効率や生産性の観点から業績を評価し、改善策を立てることが可能になるのです。

業務プロセスの分割のメリット

業務プロセスの分割は、以下のようなメリットを提供します。

1.効率性

分割されたプロセスは、全体の業務プロセスの中で各部分がどのように動作し、全体に関係しているかをより明確にすることができます。これにより、無駄な作業を省き、より効率的な運用が可能になります。

2.責任の明確化

業務プロセスが明確に分割されると、各プロセスの責任者を明確に定義できます。これにより、課題や問題が発生した際の責任の所在が明確になり、問題解決の迅速化に繋がります。

3.改善の容易さ

各プロセスが独立しているため、一部のプロセスを改善または変更しても他のプロセスに影響を及ぼすことが少なくなります。これにより、より迅速に改善措置を実施することが可能になります。

4.可視性の向上

業務プロセスが明確に分割されると、それぞれのプロセスのパフォーマンスを個別に追跡し、分析することが可能になります。これにより、業績の問題点や改善の機会を特定しやすくなります。

あとがき

この記事では、「プロセス中心アプローチ(POA)」の概要と開発手順をテーマに、POAがどのような仕組みで、どのような手順で行われるのか、またその一部として業務プロセスの分割についても解説しました。

プロセス中心アプローチは、特に業務プロセスが複雑である場合や、業務プロセス自体が価値を生み出すビジネスモデルを持つ組織において、非常に有用なアプローチとなります。システム設計と開発のプロセスを整理し、業務の変化に対応しやすいシステムを設計するために、この記事で紹介したプロセス中心アプローチの理解と活用は重要です。

当サイトでは、今回紹介した「プロセス中心アプローチ」以外の手法やデータベースに関する網羅的な情報を引き続き発信していきますので、またご覧頂けると幸いです。

Analytics沖縄

データサイエンス・機械学習・ディープラーニングを本格的に研究するフリーランスエンジニア。 「Google データアナリティクス プロフェッショナル」の認定証を取得済み。 この分野は専門知識がなければ理解し辛い情報が多いのですが、当サイトでは初学者も意識して発信していきますので、ご関心があればぜひご覧ください。

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