今回は、SQLで文字列を日付型に変換する方法について説明します。
さまざまな形式で入力される日付データ(文字列)を一貫した日付型で管理することは、データ整合性を維持するためにとても重要です。
なお、変換するためのSQLの記述はRDBMSによって多少異なります。
この記事では、SQLの文字列から日付型の変換方法について、PostgreSQL、MySQL、SQL Serverそれぞれで紹介します。
あわせて、変換時に発生しやすいエラーとその回避法、そして変換がデータベースに与える影響についても触れます。
PostgreSQL:文字列を日付型に変換
この章では、PostgreSQLで文字列を日付型に変換するためのTO_DATE
関数と基本文法を説明します。また、応用的な変換の実用例についても紹介します。
TO_DATE関数
PostgreSQLで文字列を日付型に変換するときは、TO_DATE
関数を使います。この関数は、2つの引数を受け取ります。
TO_DATEの基本文法
TO_DATE
関数の基本文法は下記のとおりです。
文字列を日付型に変換する(PostgreSQL)
TO_DATE(‘文字列’, ‘フォーマット’)
第1引数・・日付データを表す文字列
第2引数・・その文字列のフォーマットを定義する形式
具体的なSQL文の例は、次節で紹介します。
PostgreSQLの変換の実用例
文字列を日付型に変換する際には、元の文字列がどのような日付形式で表現されているか、によって第2引数が決定します。
なお、元の日付形式に関わらず、変換後はPostgreSQLの標準形式であるYYYY-MM-DD
になります。
yyyymmddからの変換
下記の例では、20240301という文字列をYYYYMMDD
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT TO_DATE('20240301', 'YYYYMMDD');
yyyy/mm/ddからの変換
下記の例では、2024/03/01という文字列をYYYY/MM/DD
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT TO_DATE('2024/03/01', 'YYYY/MM/DD');
yyyy年mm月dd日からの変換
下記の例では、2024年03月01日という文字列をYYYY年MM月DD日
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT TO_DATE('2024年03月01日', 'YYYY年MM月DD日');
MySQL:文字列を日付型に変換
この章では、MySQLで文字列を日付型に変換するためのSTR_TO_DATE
関数と基本文法を説明します。また、応用的な変換の実用例についても紹介します。
STR_TO_DATE関数
MySQLで文字列を日付型に変換するときは、STR_TO_DATE
関数を使います。この関数は、2つの引数を受け取ります。
STR_TO_DATEの構文
STR_TO_DATE
関数の基本文法は下記のとおりです。
文字列を日付型に変換する(MySQL)
STR_TO_DATE(‘文字列’, ‘フォーマット’)
第1引数・・日付データを表す文字列
第2引数・・その文字列のフォーマットを定義する形式
具体的なSQL文の例は、次節で紹介します。
MySQLの変換の実用例
文字列を日付型に変換する際には、元の文字列がどのような日付形式で表現されているか、によって第2引数が決定します。
なお、元の日付形式に関わらず、変換後はMySQLの標準形式であるYYYY-MM-DD
になります。
yyyymmddからの変換
下記の例では、20240301という文字列をYYYYMMDD
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT STR_TO_DATE('20240301', '%Y%m%d');
yyyy/mm/ddからの変換
下記の例では、2024/03/01という文字列をYYYY/MM/DD
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT STR_TO_DATE('2024/03/01', '%Y/%m/%d');
yyyy年mm月dd日からの変換
下記の例では、2024年03月01日という文字列をYYYY年MM月DD日
形式と定義して日付型に変換します。
SELECT STR_TO_DATE('2024年03月01日', '%Y年%c月%e日');
SQL Server:文字列を日付型に変換
この章では、SQL Serverで文字列を日付型に変換するためのCONVERT
関数と基本文法を説明します。また、応用的な変換の実用例についても紹介します。
CONVERT関数
SQL Serverで文字列を日付型に変換するときは、CONVERT
関数を使います。この関数は、最低2つの引数を受け取りますが、必要に応じて3つ目の引数でフォーマットスタイルを指定することができます。
CONVERTの基本文法
CONVERT関数の基本文法は下記のとおりです。
文字列を日付型に変換する(SQL Server)
CONVERT(データ型, ‘文字列’, スタイル)
第1引数・・変換後のデータ型を指定。通常はDATE
やDATETIME
。
第2引数・・日付データを表す文字列
第3引数・・スタイル
SQL ServerのCONVERT
関数では、スタイルパラメータを省略可能ですが、省略した場合の挙動は、入力される文字列のフォーマットに依存します。
明示的にスタイルを指定することで、変換プロセスをより確実にコントロールでき、データの一貫性と信頼性を担保することができます。
パラメーター | 説明 |
---|---|
101 | 「mm/dd/yyyy」形式から変換 |
103 | 「dd/mm/yyyy」形式から変換 |
105 | 「dd-mm-yyyy」形式から変換 |
111 | 「YYYY/MM/DD」形式から変換 |
112 | 「YYYYMMDD」形式から変換 |
SQL Serverの変換の実用例
文字列を日付型に変換する際には、元の文字列がどのような日付形式で表現されているかによって、適切なフォーマットスタイルを選択します。
yyyymmddからの変換
下記の例では、20240301という文字列を日付型に変換します。
SELECT CONVERT(DATE, '20240301',112);
yyyy/mm/ddからの変換
下記の例では、2024/03/01という文字列を日付型に変換します。
SELECT CONVERT(DATE, '20240301',111);
yyyy年mm月dd日からの変換
SQL Serverではこの変換に対するスタイルが直接対応していないため、事前に文字列の形式をYYYYMMDD
に整形するなどの追加処理が必要です。
文字列から日付型変換のエラー回避
この章では、文字列から日付型への変換時によく発生するエラーと、その回避策について説明します。
文字列から日付型への変換では、フォーマットの不一致や無効な日付データが原因でエラーが発生することがあります。エラーを避けるためには、下記のポイントが重要です。
- 入力データの検証: 変換前に、入力された文字列が有効な日付フォーマットであることを確認します。この確認には、正規表現などを使用してフォーマットのパターンマッチングを行う方法があります。
- フォーマットの統一: ユーザーからの入力や外部システムからのデータ取り込み時に、可能な限り日付データのフォーマットを統一します。この対策で変換処理の複雑化を減少させ、エラーの可能性を低減します。
- 適切な関数の利用: 各RDBMSが提供する日付型変換関数(
TO_DATE
,STR_TO_DATE
,CONVERT
など)を適切に使用し、変換時にフォーマットを明示的に指定します。
型変換がデータベースに与える影響
文字列から日付型への変換は、データベースのパフォーマンスやストレージ使用量に影響を与える可能性があります。
日付型のデータは、文字列型のデータに比べて格納効率がよく、日付に関するクエリ操作(範囲検索、ソートなど)のパフォーマンスが向上します。一方で、型変換処理自体にはリソースが必要であり、特に大量のデータを扱う場合にはその影響が大きくなることがあります。
型変換の処理は下記の点を重視して最適化する必要があります。
- 変換の必要性の検討: 日付データを扱う場合、最初から適切な型でデータを格納することが理想的です。変換が必要な場合は、その理由と必要性を明確にします。
- 効率的なクエリ設計: 変換処理を含むクエリは、パフォーマンスに影響を与える可能性があるため、必要最小限に留め、効率的なクエリ設計を心がけます。