データの空白には理由がある|原油と為替の記録をたどる

表の途中や末尾に空白を見つけたら、その前後にも目を向けてみます。同じ月のほかの数字はあるのか。古い年代では、どの項目までさかのぼれるのか。原油と為替の記録を手がかりに、数字がない場所から何が分かるかを探ります。空白に仮の数字を置くと、図の読み取りがどう変わるかも見てみましょう。

目次

同じ月なのに数字がそろわない

今回見るのは、財務省が公表する原油の輸入数量・輸入金額と、日本銀行が公表するドル・円相場の月次データです。日本が原油をどれだけ、いくらで輸入したか。そして1ドルが何円だったかを、月ごとに記録しています。

この二つの資料について、2026年10月25日時点で当サイトが採用していた保存版を見比べました。9月の原油の輸入数量と輸入金額には「-」が並び、為替には1ドル156.23円と数値が入っています。為替で選んだのは、17時時点の相場を月ごとに平均した「17時時点/月中平均」の列です。同じ9月でも、手元の資料に数字がそろっていません。ここから、空白の前後をたどってみます。

図1 保存版の8月と9月を並べる

2026年10月25日時点の採用版から再構成

年月原油輸入数量
(KL)
原油輸入金額
(千円)
ドル・円相場
17時時点/月中平均
(円/米ドル)
2026-0811,593,6361,190,519,198158.81
2026-09––156.23

「-」は原油の保存原表の表記。数値が載っていない状態を示しています。小さい画面では表を横にスクロールできます。

出典:財務省「貿易統計・主要商品別月別推移」d61ma.csv(世界・輸入、原油及び粗油)と、日本銀行「主要時系列統計データ表・為替相場(月次)」fm08_m_1.csv。2026年10月25日時点の当サイト採用版、同月29日照合。公表値と原表の「-」を用い、二つの資料を当サイトで一つの表に再構成。原本の画像転載ではなく、数値の補完も行っていません。

最後に数字が載っていた月は、原油が8月、為替が9月でした。表の年月をそろえてから、どこまで数字があるかを見ると、二つの資料を並べて読める範囲が分かります。

原油の表をもう少し先まで読むと、9月から12月には同じ「-」が続きます。ここに10月25日という日付を重ねてみると、9月はすでに終わった月、10月はまだ途中、11月と12月はこれから来る月です。同じ記号が並ぶ一角にも、過去から未来への時間が流れています。

一方、10月29日に確認した財務省貿易統計の説明ページは、輸入の9月を9桁速報として案内しています。保存版の末尾を読むには、表に並んだ年月に加えて、どの版を開いているのかも手がかりになります。

古い年代の空白をたどる

今度は為替の表を、古い年代へさかのぼってみます。この表には、同じドル・円相場を異なる捉え方で記録した列が並んでいます。先ほど見た17時時点の相場のほかに、「中心相場」という列もあります。中心相場は、その日の取引で金額の多かったレートをもとに示す代表的な相場です(日本銀行の解説)。

ここでは、それぞれを月ごとに平均した二つの列を見ます。同じ項目を年月に沿って並べた記録を「系列」と呼びます。1992年7月から9月までを抜き出すと、二つの系列で数字の始まる場所が違っていました。

7月の17時時点は1ドル125.66円。隣の中心相場は空欄です。8月になると、17時時点は126.34円、中心相場は126.31円と、両方に数値が現れます。9月はどちらも122.72円です。

図2 同じ為替資料でも、数字の始まる場所が違う

1992年7〜9月/東京市場ドル・円スポット、円/米ドル

1992年8月で中心相場の空欄が終わる1992年7月、8月、9月の17時時点月中平均は125.66、126.34、122.72円。中心相場月中平均は7月空欄、8月126.31、9月122.72円。07月08月09月17時時点/月中平均収録開始期 1973/01125.66126.34122.72中心相場/月中平均収録開始期 1992/08空欄126.31122.72保存ファイルのデータ行は1980年1月から。

図は横にスクロールできます。

出典:日本銀行「主要時系列統計データ表・為替相場(月次)」の保存ファイル fm08_m_1.csv。2026年10月25日採用版、同月29日照合。数値と「収録開始期」は公表資料の記載を使用。空欄は保存ファイルに値がない箇所。図の配置は当サイト作成。

中心相場の系列をさらにたどると、保存版の1980年1月から1992年7月までは空欄で、8月から数値が続いていました。そこでファイルの見出しに戻ると、その系列がいつから収録されているかを示す「収録開始期」に、「1992/08」とあります。表の中で見つけた境目が、見出しに記された年月と重なりました。月中最高値と月中最安値にも、同じ開始期が記されています。

1992年7月と8月の間にあるのは、この系列の収録範囲の境目です。隣の17時時点の列には7月にも数字があるので、列ごとに始まりを追うと、為替の表の見え方が少し変わります。どの年代から図にするかによって、並べて読める系列も変わってくるわけです。

さらに、17時時点の系列の見出しを読むと、収録開始期は「1973/01」。ところが、今回使った保存ファイルのデータ行は1980年1月から始まっています。手元の表の先頭よりも、見出しは7年前を示していました。

表の一行目を見ることと、見出しまで戻って読むことで、得られる情報が増えました。今回の保存版で数字を追えるのは1980年1月からですが、系列の収録開始期を知る手がかりは、その上にも書かれていたのです。空白を調べ始めたら、数字のある列の先頭にも、もう一つの境目が見つかりました。

空白に数字を入れると図の読み取りが変わる

では、空白にひとつ数字を置いたら、何が起きるでしょうか。原油に戻って、2026年3月から9月までを図にします。ここでは輸入金額を輸入数量で割り、当サイトで計算した1リットル当たりの輸入平均単価を使います。

3月は67.83円、6月は117.73円、8月は102.69円。9月の位置を空けて描くと、線は8月で止まります。この図から読み取れるのは、6月から8月にかけて下がったところまでです。

次に、説明用として8月の計算値をそのまま9月へ置いてみます。9月にも、表示上は102.69円という値が加わります。上に空白を残した図、下に直前値を仮置きした図を並べました。

図3 数字を一つ置くと、線の続きを描ける

2026年3〜9月/原油及び粗油の輸入平均単価(当サイト計算)

直前値を仮置きすると9月まで横線が延びる上段は2026年3月から8月までの原油輸入平均単価を表示し9月は空白。下段は同じ計算値に8月の単価102.69円を9月へ仮置きした説明用加工を茶色破線と白抜き点で表示。両図の縦軸は60から120円/L。A 保存版の値だけで描く円/L608010012067.83102.693月4月5月6月7月8月9月値なしB 9月に8月の値を仮置きする円/L608010012067.83102.693月4月5月6月7月8月9月仮置き102.69紺:公表数量・金額から計算 茶色破線:説明用の仮置き

図は横にスクロールできます。

出典:財務省「貿易統計・主要商品別月別推移」d61ma.csv、世界・輸入、概況品コード30301の2026年10月25日保存採用版。紺の値は公表金額(千円)÷公表数量(KL)で求めた当サイト計算(円/L)。茶色破線と白抜き点は8月の計算値を9月に仮置きした説明用加工。9月の公表値・推計値として使用しない。両段は同じ軸範囲(60〜120円/L、0始まりではない)。

図3の数値を見る
図3の数値(円/L)
2026年保存版から計算説明用仮置き
3月67.83—
4月102.06—
5月114.02—
6月117.73—
7月116.40—
8月102.69—
9月値なし102.69

表示は小数第2位。座標と仮置きは丸め前の計算値を使用。

下の図では、8月から9月へ横向きの線が一本延びています。それだけで、「値下がりが一服した」ようにも見えてきます。この横ばいは、最後の値を据え置くという操作によって生まれた形です。上の図では、9月にどう動いたかを読む手前で線が止まっています。

空白を残すと、線の終わりが、その保存版でたどれる範囲を教えてくれます。数字を置けば線は先へ進み、選んだ置き方がその先の形を決めます。たった一か月分の空白でも、図にしたときの読み取りに関わってきます。

数字がない場所を調べて分かったのは、原油と為替では保存版の末尾がそろっていないこと、為替には系列ごとの収録開始期が記されていることでした。空白の前後や表の見出しを読むと、数字そのものに加えて、その数字をどこまでたどれるかが見えてきます。

この記事の分析について

使用した資料と確認時点

本文と図は、2026年10月25日時点で当サイトが採用していた原油・為替の保存版をもとに作成し、2026年10月29日に確認しました。原油は財務省貿易統計「主要商品別」の世界・月別・輸入、概況品コード30301「原油及び粗油」(保存ファイル名 d61ma.csv)。為替は日本銀行「主要時系列統計データ表」の東京市場ドル・円スポットの月次6系列(保存ファイル名 fm08_m_1.csv)です。

出典:財務省貿易統計「輸出入額の推移(地域(国)別・主要商品別)」、日本銀行「主要時系列統計データ表」外国為替市況。

原油の掲載範囲と単価の計算

使用した保存版では原油の数量・金額の最後の数値は2026年8月で、9月から12月は「-」です。10月25日時点では、9月は終了済み、10月は途中、11月と12月は未来にあたります。この時間上の整理は当サイトによるもので、原表が空欄を三つに分類しているわけではありません。10月29日に確認した財務省の説明ページでは、輸入の2026年1〜8月は確報、9月は9桁速報と案内されています。本記事では新しいCSVの9月の数値は取得していません。保存版の空白から、現在の公表状況や正確な公表日・切替日を判断することはできません。

輸入平均単価は、輸入金額(千円)を輸入数量(キロリットル)で割って当サイトが計算しました。千円とキロリットルの千倍が相殺され、単位は円/リットルとなります。対象品目の輸入実績から求める平均単価であり、ドル/バレル表示の市場価格とは対象と単位が異なります。図に使用した3〜7月は保存版の区分で確報、8月は9桁速報です。本文と図の数値表示は小数第2位に丸めています。

為替の系列と収録範囲

為替の単位は1米ドルにつき円です。本文の2026年9月156.23円は「17時時点/月中平均」(FXERM07)。図2は同系列と「中心相場/月中平均」(FXERM09)の1992年7〜9月を比較しています。中心相場の説明は日本銀行「外国為替市況の解説」(2026年10月29日確認)によります。保存ファイルのデータ行は1980年1月〜2026年9月です。「17時時点/月末」(FXERM06)と「17時時点/月中平均」(FXERM07)はこの561か月すべてに数値があり、見出しの収録開始期は1973年1月です。

「中心相場/月末」(FXERM08)、「中心相場/月中平均」(FXERM09)、「月中最高値」(FXERM03)、「月中最安値」(FXERM05)は、1980年1月〜1992年7月の各151か月が空欄で、1992年8月〜2026年9月の各410か月に数値があります。4系列の見出しの収録開始期も1992年8月です。確認したのは各系列の記載と保存版の範囲で、為替統計全体の開始時期や制度上の経緯を示すものではありません。1973〜1979年の実データは今回の保存ファイルに含まれておらず、確認対象外です。

図3の仮置き

図3の上段は2026年3〜8月の輸入実績から計算した単価を示し、9月には点を置いていません。下段だけ、8月の輸入金額1,190,519,198千円を輸入数量11,593,636キロリットルで割った値(約102.687301723円/リットル)を、丸める前の値のまま9月へ仮置きしています。この9月の点と8〜9月の線は説明用の仮定です。元の資料の値は変更していません。

照合の範囲

原油の直近月と為替の開始境界・直近月について、公表資料の保存原本と対象の86セルを照合し、原油の計算単価と為替6系列の数値掲載範囲も確認しました。全期間の価格を再監査したものではありません。2026年10月25日は保存・採用版を識別する時点で、原資料の公表日を示していません。為替ファイルに記された最終更新日や先頭日時も、公表日・取得日とは扱っていません。

この記事を書いた人

沖縄の公的データをもとに、人口や観光、暮らしの変化を分析しています。グラフと解説で、地域の姿をわかりやすく伝えます。

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