2023年の夏から秋、本島のガソリン価格は上昇したあと、ほぼ元の水準に戻りました。その間、宮古島は出発点より1.3円高く、石垣島は5.7円低い価格になっています。上昇と下落を経たあとの姿は、島によって違っていました。
価格の折れ線が同じ方向へ動いていても、地域間の差まで同じように戻るとは限りません。沖縄県の公表資料から調査日を照合できた2022年と2023年の2局面を取り出し、価格の高さと、その後の動き方を分けて読みます。
本島がほぼ元に戻った2023年、両島の価格は分かれた
2023年7月の本島平均は168.1円/L。8月に182.6円へ上がったあと、11月には167.8円となり、7月との差は−0.3円でした。
宮古島は190.0円から8月に201.3円へ上昇し、11月は191.3円。一方、石垣島は194.0円から201.0円へ上がったあと、188.3円になりました。本島が出発点に近い価格へ戻る間に、宮古島は少し高い位置、石垣島は低い位置に着地しています。
この違いを見やすくするため、次の図では各地域の7月の価格を引き、出発点を0円にそろえました。線の高さは店頭価格そのものではなく、7月から何円変わったかを表します。
スマートフォンでは図を横にスクロールできます。
出典:沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」。レギュラー・税込円/L。公表値から当サイト計算。月平均ではなく各月の基準日の価格です。
8月への上昇幅は、本島が14.5円、宮古島が11.3円、石垣島が7.0円でした。この時点では本島の上昇が大きく、両島と本島の差は縮んでいます。その後11月までを見ると、宮古島との価格差は7月より1.6円広がり、石垣島との価格差は5.4円縮みました。
| 地域 | 7月 | 11月 | 差の変化 |
|---|---|---|---|
| 宮古島 | 21.9 | 23.5 | +1.6 |
| 石垣島 | 25.9 | 20.5 | −5.4 |
出典:沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」。レギュラー・税込円/L。公表値から当サイト計算。月平均ではなく各月の基準日の価格です。
「離島と本島の差」と一つにまとめると、同じ期間に両島の差が逆向きに動いたことが見えにくくなります。島を分け、上昇の途中と下落後を比べることで、価格の関係をもう一段詳しく捉えられます。
2022年の局面では、両島とも本島との差が広がった
別の局面でも、同じ方法で確かめます。2022年5月を出発点にすると、本島・宮古島・石垣島はいずれも6月に5円台の上昇を記録し、その後は下がっています。
9月までの変化は、本島−2.5円、宮古島−1.7円、石垣島0.0円でした。石垣島は5月と同じ価格に戻り、本島と宮古島はそれを下回りました。本島の下落幅が大きかったため、5月から9月にかけて両島との価格差は広がっています。
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出典:沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」。レギュラー・税込円/L。公表値から当サイト計算。月平均ではなく各月の基準日の価格です。
| 地域 | 5月 | 9月 | 差の変化 |
|---|---|---|---|
| 宮古島 | 17.0 | 17.8 | +0.8 |
| 石垣島 | 16.5 | 19.0 | +2.5 |
出典:沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」。レギュラー・税込円/L。公表値から当サイト計算。月平均ではなく各月の基準日の価格です。
本島との差の変化は、宮古島が+0.8円、石垣島が+2.5円。2023年には両島で逆向きだった差の動きが、2022年のこの区間では同じ方向でした。どの島を、どこからどこまで比べるかによって、読み取れる関係が変わります。
価格の高さと、上昇・下落の経路を分けて読む
地域間の価格差の変化は、それぞれの値動きを引き算すると整理できます。
価格差の変化 = 島の価格変化 − 本島平均の価格変化
2023年の石垣島では、−5.7円から本島の−0.3円を引くと、差は約5.4円縮小します。2022年の石垣島は価格が出発点に戻っていても、本島が2.5円下がったため、差は2.5円拡大しました。差が広がったという結果だけでは、島側が値上がりしたのか、本島側がより大きく下がったのかを区別できません。
今回の2局面が示すのは、同じ方向の上昇・下落でも、地域間の差が残る形は一様ではないことです。価格を読み解くときには、「今いくら高いか」に加え、「出発点から各地域が何円動いたか」を並べると、その違いが明確になります。
宮古島・石垣島の長期推移と旅行中の給油代を見る / 沖縄のガソリン価格を定点観測で見る
この記事の分析について
資料と比較の範囲
- 沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」の令和3〜8年度公表表から、2021年4月〜2026年6月の63か月を候補抽出に使用しました。年月は原表の年度と表示月から対応付け、日の部分は原表のまま保持しています。一部の日付セル内部の年は年度と整合しないため、その値だけで年を決めていません。記事の数値・図表は、令和4年度の2022年5〜9月、令和5年度の2023年7〜11月の各5観測、3地域計30値に限定しています。
- 油種はレギュラー、税込円/L。月平均ではなく、原表に掲載された各月の基準日の値です。本島は同表の「本島平均」であり、資源エネルギー庁の沖縄県平均とは別の系列です。
- 両島の価格は県の石油製品輸送等補助事業の小売価格報告書、本島平均は県の石油製品価格調査が出所です。本島調査は抽出調査です。調査・集計元が異なる公表価格の比較であり、同じ給油所群を追跡した分析や販売量加重の比較ではありません。島内全店舗や離島全体への一般化は行いません。
- 掲載期間の基準日は、2022年が5月23日・6月27日・7月25日・8月22日・9月26日、2023年が7月24日・8月28日・9月25日・10月23日・11月27日です。別掲の県内石油製品価格調査と、本島の年月日が一致することを確認しています。本島価格には公表表間の丸め精度の差があるため、計算は離島表に掲載された本島平均に統一しました。
局面の選び方と計算
- 本島平均が前月より5円/L以上上昇し、翌月の価格以上となる局所的な山を作り、そこから後3か月内に5円/L以上下落する月を抽出しました。前月から後3か月まで5観測が揃うことも条件としました。この「5円・3か月」は動きを読みやすくする分析上の基準です。
- 条件に合うのは2022年6月・2023年8月・2025年1月・2026年3月の4局面でした。2025年と2026年の局面は、期間内の2025年2月・2026年2月について、別掲の本島原表と基準日の表示が1日異なるため保留し、本文では使用していません。残る2局面を同じ長さで読み解いています。
- 価格変化は各地域の基準月の価格を引き、価格差は島の価格から同時点の本島平均を引いて計算しました。計算には原表の数値を使用し、表示時に小数第1位へ丸めています。差の変化は丸め前で計算するため、表示値だけの引き算と0.1円ずれる場合があります。
- 上昇幅・下落幅の両方の抽出基準を、それぞれ3円・10円に変えた場合も確認しました。3円では候補が1局面増え、10円では2023年と2026年の2局面に絞られます。本文の中心である2023年の事例はどちらでも残りますが、掲載2局面をすべての値動きの代表とは位置付けていません。
この比較で分かること
ここで確認したのは、同じ基準日で観測された公表価格の変化と、地域間の差の推移です。月1回の観測から値下げの速さを日単位で測ることや、輸送費・仕入れ・競争・支援策それぞれの影響を分離することはしていません。調査対象店舗や集計構成の影響も切り分けていません。
出典:沖縄県「県内離島の石油製品小売価格の状況」、沖縄県「県内石油製品価格調査・小売価格調査」。公表ページ確認日:2026年10月30日。保存原本を読み取り、記事に使用する値と計算を別経路でも照合しました。