前年より安いのに、先月より高い? ガソリン価格の比較基準を読む

沖縄のガソリン価格を振り返ると、「前年より安い」と「先月より高い」が同時に成り立つ月があります。2020年7月の月平均は136.90円/L。前月から4.70円上がり、前年同月からは15.52円下がっていました。

値動きの記事で「上昇」「下落」という言葉を見たら、いつの価格と比べているかも確かめてみましょう。同じ価格でも、比較相手を変えると、そこから読み取れる動きが変わります。

この記事では、資源エネルギー庁が公表する沖縄県の週次価格から月平均を作り、二つの比較をたどります。月平均は、その月に記録された調査価格の単純平均です。

目次

当月の価格に、二つの比較相手を置く

まず、2020年7月の136.90円/Lを中心に、前月と前年同月を並べます。2020年6月は132.20円/L、2019年7月は152.42円/Lでした。当月の価格は、この二つの間にあります。

図1 当月は、前月と前年同月の間にある

沖縄県・レギュラー・税込み/月平均は当サイト計算

沖縄の月平均価格を三つの時点で比較前年同月152.42円、前月132.20円、当月136.90円。2020年7月は前月より高く、前年同月より低い。前年同月 2019年7月152.42前月 2020年6月132.20当月 2020年7月136.90120130140150160月平均価格(円/L)

出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の公表週次価格から当サイト計算。対象は図中の3か月。各月の調査価格を単純平均。点の位置と右上の数値は円/L。

前月を基準にすると、直近の一か月で価格がどちらへ動いたかを読めます。前年の同じ月を基準にすると、一年前の同じ暦月と比べた価格の位置が分かります。どちらも、当月の価格を理解するための比較です。

「前月より上昇」と「前年より低い」を一緒に読む

差の計算は、当月から比較相手を引くだけです。前月差は136.90−132.20で+4.70円/L。前年同月差は136.90−152.42で−15.52円/Lになります。

図2 比較相手によって、差の方向が変わる

どちらも2020年7月の136.90円/Lを起点に計算

同じ当月価格から、二つの差を計算2020年7月の沖縄の前月差はプラス4.70円、前年同月差はマイナス15.52円。前月差+4.70円前年同月差−15.52円−20−100+10価格の差(円/L)

出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の公表週次価格から当サイト計算。沖縄県、レギュラー、税込み。各月の単純平均を丸めずに計算し、その差を表示。

この月を「前年より15.52円安い」とだけ読めば、直近にも値下がりが続いているように感じるかもしれません。前月差を添えると、一年前より低い水準にありながら、直近では上がっていたことまで伝わります。

反対に、前月からの上昇だけでは、一年前よりどれほど低かったかが見えません。「最近の動き」を知りたいのか、「一年前との差」を知りたいのか。先に問いを決めると、使う比較を選びやすくなります。

前年との差が変わるときは、前年側も見る

もう一歩進めて、前年同月差そのものの動きを見てみます。沖縄の2020年6月の前年同月差は−22.15円/L、7月は−15.52円/L。一年前より低い状態は続いていますが、その差は6.63円縮まりました。

この6.63円には、今年と前年の両方の動きが入っています。2020年の6月から7月は4.70円上昇。一方、比較相手となる2019年の6月から7月は1.93円下落していました。今年の価格が上がることに加え、前年の比較基準が下がることも、差を縮める方向に働きます。

前年同月差を月ごとに追うと、比較相手も前年6月、前年7月と移っていきます。数字が大きく変わったときには、当月側だけでなく、前年側の価格がどう動いていたかを一緒に確認すると、変化の内訳をたどれます。

発展例 今月上がっても、前年との差が広がる月

2023年6月の沖縄は174.75円/Lで、前月から1.43円上昇しました。ただし前年の5月から6月は2.03円上昇していたため、前年同月差は−5.20円から−5.80円へ、0.60円だけマイナス方向に広がりました。

計算の関係は「前年同月差の変化=今年の前月差−前年の前月差」。この例は、1.43−2.03=−0.60円です。表示前の値で計算しています。

出典:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」の公表週次価格から当サイト計算。2022年・2023年の5月と6月、沖縄県、レギュラー、税込み。

価格の記事を読むときは、対象の月、比較相手、差の単位を順に確かめる。「上がった・下がった」にこの三つを添えると、自分が知りたい動きと数字を結び付けられます。前年との差が縮まった理由を読むときには、比較相手の移り変わりにも目を向けてみてください。

この記事の分析について

資料と対象:資源エネルギー庁「石油製品価格調査」。沖縄県のレギュラーガソリン、消費税込み、円/Lの公表された地域平均価格を使用。給油所を対象とする週1回の店頭現金小売価格の調査です。調査方法は石油情報センターの調査案内を参照してください。本文は2020年7月を中心に、発展例として2023年6月を取り上げています。

月平均:各暦月に記録された調査価格の合計を調査回数で割った当サイト計算値です。月の日数や販売数量による重み付け、調査日の間の日次価格の補間は行っていません。本文の価格は個別店舗ではなく、公表された地域平均から算出した月平均を表します。

比較:前月差は当月平均−前月平均、前年同月差は当月平均−前年同月平均。本文と図はすべて円/Lの差で示しています。前年同月差の前月からの変化は、今年の前月差−前年の前月差と一致することを確認しました。

確認範囲:採用済みデータの2016年11月〜2026年9月を月次集計。収録範囲の両端にある2016年10月・2026年10月は部分月として除外しました。前月と前年同月がそろう107か月で事例を確認。収録価格の欠測・地域と調査日の重複を確認し、欠測を0や据え置きで埋める処理はしていません。予定調査カレンダーとの全件照合は未実施です。

表示と検証:価格・差とも小数2桁で表示。公表週次価格を基に、月平均と差を丸める前の値で計算しています。このため、表示された数値同士の引き算と末尾の桁が一致しない場合があります。主例・発展例の元となる月平均は、週次値から別経路でも再計算して確認しました。

読み取る範囲:比較基準による見え方を確かめる記述分析です。価格変化の原因や、制度・原油・為替など各要因の影響は今回の計算から推定していません。分析作成:2026年10月29日。

この記事を書いた人

沖縄の公的データをもとに、人口や観光、暮らしの変化を分析しています。グラフと解説で、地域の姿をわかりやすく伝えます。

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